ウバメガシ 加熱される備長炭
 
備長炭はブナ科のウバメガシから作られます。
ブナ科の樹木は昔から炭を焼くのに非常によく使われてきました。元来、ウバメガシの風乾材の比重は0.99もあり、他のカシ類の比重0.75〜0.85にくらべ非常に重いといえます。その為、焼かれた炭も大変硬く、叩くと高く澄んだ音が出ます。太さや長さをうまく切り揃えて木琴のようにした『炭琴』を作り小学生が演奏するのをテレビで見かけた方も多いのではないでしょうか。
 
木炭には「白炭」と「黒炭」という分類をはじめ、オガ炭、ヤシガラ炭などいくつもの種類があります。
ここでは代表的な「白炭」と「黒炭」についてご説明しましょう。
使われる木材の種類だけでなく加熱温度と冷却方法の違いが木炭の性質に表れます。

上の写真は、高温でじっくり熟成加熱される紀州備長炭。
白炭 黒炭
 
「白炭」は800〜1200度の高温で焼き、熱いまま窯から出した段階で、灰と土と水をミックスした「消粉」をかけて冷却させて作られるもので、叩けば硬い金属音を発する特徴があります。
紀州備長炭は、和歌山の県木「ウバメガシ」を原料材とした、白炭の最も高級な品とされ、加熱調理に用いると500度以上の高温を長時間一定に保つことができる上、遠赤外線効果により「表面はパリッとさくさく。中はふわっとジューシー」な料理に仕上げることができます。
 
「黒炭」は600〜800度で焼き上げた木炭で、炭化されるまで窯の中で冷却させる製法で作られたものです。柔らかい材質で火付きが良く立ち消えしにくい特徴があります。
窯出し 窯出し直後
 
厳しい目で仕上がり具合をチェックされ、自慢の白炭窯で時間をかけて焼かれていく備長炭。
職人ならではの熟練技で備長炭は作られていきます。
窯の温度は800〜1200度にも達しています。
 
焼きの工程が済み、窯から出されます。

見事に赤く美しく焼き上がった光る炭。
これから消粉をかけて冷やす工程へと進みます。
炭冷却作業 完成
 
消粉をまぶして冷やしていきます。
紀州備長炭として仕上げの段階です。
 
完成品。
金属にも似た硬い質感と独特の金属音、身の引き締まったずっしりとした重量感、日本人の独自の知恵で生まれた、白炭の中で最高級品と誉れの高い世界一の紀州備長炭です。